ピアニストと野獣

「それ、一般論でしょ?ちょっと変だけど…。まぁ、それよりもまず私は一般じゃないし…。ピアニストだよ?」


私は机に頬杖をついて西園寺を見上げ、不敵な笑みを浮かべてみせた。


そんな私の顔を見て、西園寺はみるみるうちに顔を赤くした。


「えっ?どうしたの?西園寺大丈夫?」


私は心配になり立ち上がり、おでこに手をやろうとした。


「あぁー!!大丈夫だから!大丈ー夫!ほっといていいから!」


おでこにやろうとした私の手を掴み、無駄に騒ぐ西園寺。


――変なの…。


「てか、沙羅の指、長いしすごい綺麗だなぁ。さすがピアニスト。」


西園寺は掴んでいた私の手をじっくり見ながら言い、顔をあげてニコッと笑った。


「あ、当たり前でしょっ!ピ、ピアニストなんだから!」


思わず吃り(どもり)ながら言ってしまった。


案の定西園寺に笑われた。