ピアニストと野獣

「何よ…。空と喧嘩でもしたの?」


何気無く言った私の言葉に空はビクつき、苦笑いをした。


「図星なのね…。で?何で喧嘩したの?」


私は腕を組み、横目でチラリと陸を見た。


――――てか、最近陸、誰かと喧嘩してるような…。


そんなことを考えていると陸が話しだした。


「真美姉のことを話してたら、どうも空は前から知ってたみたいでさ…。なのに何もアクションを起こさないからムカついて、怒鳴ったら怒鳴り返された。」


頬を人差し指でかいている陸を見て、私はため息を吐いた。


「何て怒鳴ったのよ?内容にもよるわ。」


「それは――――」


キーンコーンカーンコーン…


タイミング悪くチャイムが鳴ってしまい、私たちは急いで音楽室を後にした。