ピアニストと野獣

―――――――――――……


まったく…


調子が狂うじゃない。


挨拶も終わり、集まったお客さんは好き好きに立食パーティを楽しんでいた。


「皆さん！楽しんでいますか？」


――――！！


突然前に立った真美姉。


そのため演奏は一時停止した。


「皆さんに、私から報告したいことがあります…。」


何かしら？


真美姉はうつ向き、一つ深く呼吸をしたあとに前を向き、真剣な眼差しで話し出した。


「アメリカの大学に入学し、生化学を思いっきり勉強してきます。卒業後は向こうで就職もして、日本に帰り住む予定はありません。」


「えぇっ！？」


あまりのことに驚き、辺りは騒然とした。


ふと空を見てみるとポケットに手をつっこみ一人、平然としていた。


―――何であんなに平然としてるの？


思わず席を立ちそうになったが、真美姉のお母様の叫び声にも似た怒りの声にそれを踏みとどまされた。