ピアニストと野獣

リハーサルも無事に終わり(かなり注意はされたけど…)辺りを見渡すとお客さんが多く来ていた。


『これより雨宮真美様の帰国パーティを始めさせていただきます。』


そのアナウンスでパーティが始まった。


「本日はおこしいただき――――」


よく聞く挨拶が始まり、色々な人がマイクの前に立つ。


―――長い…。


私はアクビを噛み殺し、目に涙をためた。


「お嬢さん、おやすみですか?」


西園寺に見られていたらしく突っ込まれてしまった。


「ち、違うわよ!」


私は慌てて緩んだ表情を引き締め、西園寺を睨んだ。


そんな私を西園寺はからかうように「怖い怖い。」なんて言いながら笑った。


「もう!からかわないで―――」
「沙羅!始めるぞ。」


「は、はい!」


慌てて構える私に西園寺は「頑張って。」と言って離れていった。