ピアニストと野獣

「それより何で沙羅がいるんだ?バイオリニストの方は?」


――――このオヤジは…。


私はため息をついた。


「そのバイオリニストが来れなくなったから真美姉に頼まれて私が代わりに来たの!」


私の説明に納得したお父さんは「なるほど!」なんてのんきなことを言っている。


「お父さん、オケのみんな集まってるし、始めなくていいの?」


こののんきなオヤジに今の状況を説明してあげた。


「沙羅が代わりなら、また一通りやらないとなぁ…。この曲全部弾けるか?」


「弾けるよ。」


「それじゃぁ、始めようか。」


その声と共に始まった。