ピアニストと野獣



チャーンチャーチャチャ~♪~♪


朝の澄みきった空気でいつもとは違う音色。


―――うん、良く響いて気持ちい…。


「沙羅さん!ちゃんと弾きなさい。この教室の状況じゃなく、この曲の情景を思い浮かべなさい。」


……バレてたか。


「すみません…。」


苦笑いをして、再び続きを弾く。


「うーん…。何かいつもと違うわね。心ここにあらずって感じでフワフワしてるわ。…最近何かあったの?」


あったもなにも、無理矢理JPにされたんだよ!!


なんてことは言えず、「何もないですよ?」と笑顔で言った。


「そう…。まぁ、何かあるなら先生に相談してね。それじゃあ終わります。」


そう言って先生は音楽室を出て行った。