ピアニストと野獣

「えっと…。母が国際弁護士で…。」


「国っ――!?…で?親父さんは?」


期待の目で見つめてくる空から顔をそらし、ぼそりと呟いた。



「――――指揮者。」


「…は?指揮者って、あの…オーケストラで指揮してる指揮者?」


「まぁ…ね…。」


認めた瞬間教室の空気が変わった。


『北河さんのお父様、指揮者なの!?スゴーい!』


『ホント、スゴい!北河さん音楽に打ち込んでるのはお父様の影響なんですね!』


空と私の会話を聞いていたクラスメートが騒ぎだした。


―――これ以上は言いたくないな…。