ピアニストと野獣

「真美姉!?」


私は思わず声を張り上げた。


だって、あの人は―――


私の声が真美姉に届いたのか、私の方に近寄ってきた。


「沙羅ちゃん?」


真美姉は目を真ん丸にして顔を近づけた。


私はただひたすら頷くだけだった。


そんな私に真美姉はにっこりと微笑んだ。


「久しぶりね。何年ぶりかしら?」


「…5年くらいかな?」


「そっか。あの時は沙羅ちゃんが小学5年で、私が中学2年だったもんね!」


そんな話をしているうちに予鈴がなり、私は真美姉と別れた。