ピアニストと野獣

私は「うーん…。」と首をゆっくりとかしげて、ため息を吐いた。


そしてゆっくりと今の気持ちを話した。


「――幸せを願いたい…そう思うんだけど、それを…嫌がる自分もいて。これって多分…嫉妬。もう、自分がどうありたいのか分かんなくなってきちゃって…。」


―――!!


西園寺は、うつ向いたままの私を後から優しく包み込んだ。


「大丈夫。ちゃんと答えは出るから、焦らなくていいよ。」


抱きしめたまま、西園寺は優しく言った。


この時間


この空間


この雰囲気


全てが心地よくて

時が止まってしまえばいいのに…


なんて思ってしまうほど。