ピアニストと野獣

私はピアノのカバーを外し、準備を始めた。


「ちょ、ちょっと俺がいるって分かってて放置するなよ!」


カーテンの裏から出てきたのは陸だった。


―――まったく、兄弟そろってやること一緒。


そんなことを思いながら陸の方を見た。


「何で西園寺と喧嘩してんの?」


私が笑顔で言うと陸は「うぅ…。」とうなって後ずさった。



「沙羅には関係ない!」