外科医が部屋を後にして数分後、再び扉をノックする音が聞こえた。 お母さんが迎えに来たのかな。 思ったより早かった。 というか…… 帰りたくない、あの家に。 そう思ったら、胃がモヤモヤして吐きたくなった。 返事もせずベッド端に腰掛けたまま、じっと身体を縮こまらせていると、すぅーっとゆっくり静かにスライドドアが開いた。 「コト?」 優しい声音で私の名を呼ぶ声に、陰鬱な気持ちがふわっと安堵に包まれた。