「なんで迫ってくんだ?」

幸大が後ずさる。


「O型ってRhが同じならどの血液に輸血しても平気なのよ?」

「俺は注射が嫌いだから献血はしないんだが。」


ドンッ。

教室の壁に追い詰められた。

「ねぇ…

吸血鬼ってしってる?」


スッ、

両肩を姫野が掴む。

「よく漫画や小説に出てくるのと実際のは違うのよ…


吸血鬼は妖怪って言うよりも進化した人間。

だからね…血を吸う時も相手の血液型を考えないで吸うと死んじゃうの。」


「き、吸血鬼は太陽とか十字架が苦手なんじゃ…」


「漫画や小説とは違うって言ったでしょ?

人間は太陽を怖がる?

十字架を嫌がる?


ましてや…

私、ニンニクはけっこう好きよ?」


「お前は吸血鬼だったのか?」


「ええ。

17歳を迎えた吸血鬼は血を吸わないとやつれていくの。

死にはしないけどね。」

ギリッ!

「な!?

爪が…」

肩を掴んでいる爪が鋭くなる。

「そろそろ…いただきたいわ。


吸われても死なないし…大人しくしてね?」


片手は幸大の肩を掴んだまま学ランのボタンを片手で外す。

元々Yシャツのボタンも二つ開いていたがさらに一つ開ける。

「質問だか…なぜ、首筋なんだ?」