腕の中の自分を見つめる右京に忍は気まずさを感じた。



「…本当に大丈夫なのに…」



「忍が大丈夫でも俺が大丈夫じゃない。」



そう囁くと右京の手が忍の首に触れた。



そっと撫でられくすぐったくてちょっと身をよじる。



「…ねぇ忍…俺とイギリス行かないかって言ったら…お前どうする?」



「えっ?」



「就職の話、母さんから聞いた?」



「ん…ちらっとね。」



「あの時、つい“忍を連れて行く”って言っちゃったけど…忍が嫌だったら別にいいから…」



忍は驚いて右京の顔を見ると、少し切なそうに微笑む彼が居た。



「…なんか右京っぽくない。」



「ふふ…そうかもな。」



「私は…やだな…」



忍の言葉に右京は「そっか」と小さく答えた。