新幹線の時間に余裕で間に合った二人は、駅弁を買い込んで席に着く。



座席の上に荷物を上げた右京は忍の隣に座ると伸びをした。



「1時間半くらいかな?」



「ん。新幹線だし、すぐ着くわよ。」



「じゃあ、近くになったら起こして。」



そう言って座席を倒そうとする右京に「ちょっと…」と忍が口を尖らせた。



「寝る気!?」



「寝るに決まってんじゃん…夜に備えて。」



「なっ!?そ、備えなくていいから!…色々話したかったのに…」



不満そうな忍の方に身体を向け、右京はグリーンアイを細めて笑った。



「いいよ。話、聞くよ?」



「あのね…」



忍も右京の真似をして座席に凭れながら身体を彼の方に向けた。



「この前の事なんだけど…」



「この前?」



首を傾げる右京に忍はちょっと頬を染めてムッと不機嫌な顔をした。