だが、忍にしてみたらそれすら“嫉妬”の原因になった。
「ある程度の“距離”みたいなものを持って欲しいのよ…」
「「“距離”?」」
忍が右京に対して思うのは“分け隔て無さすぎる”事だった。
「なんて言ったっけ…大学の女の子…」
「あ~…ジュリアね…」
一瞬でも右京が靡いてしまった手前、彼女の名前が出ると右京はバツが悪い。
ジュリアとの事は隠していたが、嘘の下手な右京は結局忍にバレた。
案の定、忍のキレ様は半端なく、それは正に地獄絵図だった。
以来、右京は隠し事しないでどんな些細な事も逐一打ち明けるようにしている。
「誓ってもうあんな事はないよ。」
「なになに、気になる!右京何したの!?」
「うるさい!なんもしてねぇよ!」
あまりその話に触れたくない右京は虎太郎の煩い口にビール瓶を突っ込んだ。