ふと、『おい、アダム!』と彼を呼ぶ声が聞こえた。



右京は駆け寄ってくるテリーにピクリと眉を動かすと、クルリと背を向け自販機に小銭を入れた。



『おそいよぉ~!この後打ち上げ行くって!』



『ああ、そう。じゃあ行こうか。』



ベンチから立ち上がったアダムの後を追うテリーが見えた。



『おい!』



右京の声に二人は同時に振り返る。



『奢りだ。』



そう言って彼は取り出し口から出てきたコーラのペットボトルを思いっきり投げつけた。



が、ボトルは手を伸ばしたアダムの方ではなく、何故かテリーの方角へ…。



─バコンッ!!


案の定それはテリーの顔面に直撃し、彼がひっくり返る様を見て右京はニヤリと笑った。



そしてその場を去っていく右京をアダムは一瞬唖然と見つめ、『…何故?』と本気で首を傾げたのだった。