…とはいえ、今更仕方ないか…。



右京は窓辺に肘を着いて列車の外の景色に目を向けた。



ふと、携帯のメール受信を報せる音に気付いてポケットを探る。



メールはアランからでライヴハウスの見取図が添付されていた。



「虎太郎。ライヴは何時開始だっけ?」



「18時。」



「18時か…まだ人通りの多い時間だな…」



「どうする?」と言う虎太郎に右京は暫く考え込む。



「恐らく契約者と悪魔が別の場所に出現する。…お前ならマルバスが判るよな?」



ならばマルバスを追うのは虎太郎の方がいいだろう。



問題は契約者だ。



…どう接触する…?



相手は人気バンドの一員。



容易に近付くのは難しいかもしれない。