“リヴァプール”はイングランド北西部のマージーサイド州でビートルズ誕生の地らしい。



右京はどうせ行くならプライベートで行きたかったと熟思う。



「…なにその顔…俺とじゃ不満なわけ?」



「うっせ!ムカツクから喋んな!」



「まだ怒ってるの!?右京って根に持つタイプだっけ!?」



隣の席でそう捲し立てる虎太郎を睨んでフンッ!と鼻を鳴らす。



彼の言う通り右京は物凄く怒っていた。



それは数日前の事だ。



忍がリサと“vale”のライヴに行くと言い出し、右京は当然即却下した。



「“リヴァプール”まで行くなんて…せめて“ロンドン”での公演を待てよ!」



「リサだって行く気満々だったもん!それに虎太郎君は許してくれたのに…なんで右京は駄目って言うわけ!?」



…はぁ!?虎太郎、馬鹿じゃねぇの!?



内心悪態をつくが、そう言われると自分がまるで甲斐性なしに思えて、首を縦に振らざる負えなかったのだ。