こんな自分を見たら右京に『甘過ぎる』と言われるだろう。



だが、リサがこうやって甘えて来てくれる事が嬉しくてなんでも『いいよ』と言ってしまうのだ。



『…で、誰が歌ってんの?』



『ヴォーカルはテリーよ。とても素敵な曲よね~』



『ん~…でも、リサの歌の方が俺は好き。』



セイレーンなのだから当たり前なのだが、彼女は『ありがとう』と笑う。



…うんうん、今日は機嫌がいいな。



『リサのステージはいつ?』



『ヒューガがお望みならいつでも歌うわよ?』



『じゃあ歌って…なんでもいいから。』



リサはクスッと笑ってベットから飛び降りるとスカートの裾を揺らして振り返る。



『じゃあ、今聴いてた“vale”の新曲で…』



『うんうん……………待った!』



歌い出そうとしたリサは出鼻を挫かれムッと口を尖らせた。



『誰の曲だって!?』



『“vale”よ!』



そこでやっと自分が大失敗をしたことに気付いたのだった。