「おはよ、忍。…具合どぉ?」



「…おはよ…少し頭痛い…」



「病院行くか?」



ちょっと眉間に皺を寄せて辛そうな顔をした忍を、右京が心配そうに覗き込んだ。



「そこまでじゃないかな…」



「今テレビで言ってたけど、新型ウイルスかもしれないよ?」



「そうなの…?…判った…行く。」



素直に言うことを聞いた彼女をヨシヨシと撫でると右京はタクシーを呼んだ。



…こういう時、車欲しいな…。



免許自体は持っていても肝心な車が無くては意味がない。



だるそうに起き上がった忍を着替えさせ、病院に向かう。



「仕事は…?」



「遅刻するって言ってある。仕事より忍が大事。」



とは言ったものの休めなかった事が申し訳なくて「ごめんな?」と忍を引き寄せた。



忍は彼の過保護ぶりに呆れていたが、右京としてはこれでも足りないくらいだった。