アランの悩みは他でもないDR.ベッカーについてだ。



P2のメンバーをむやみに増やす事を避けたいアランは、もう何日もその話しかしないのだ。



最初のうちは『まぁ、いいじゃないか』とその場を取り繕っていた右京だが、さすがにこう続くと苦痛以外のなにものでもない。



『…ドクターの役割なんだけど…』



…ほら来た!



右京は腕時計に視線を落とし『あ、こんな時間か…。』と呟いた。



『俺、忍に買い物頼まれてんだよ…。そろそろ帰るわ…。』



眼鏡の奥の瞳がギラッと光り、一瞬怯んでしまった。



…ダメダメ!負けるな、俺!



丁度外の監視モニターに虎太郎が見えた。



『あ、話の続きは虎太郎が聞くから!』



このチャンスを逃す手はない。



何も知らずに『よぉ!』と入って来た虎太郎の肩をポンと叩き『後はよろしく』と足早に立ち去る。



『へっ…?なに?何の話?』



訳がわからない虎太郎は二人を交互に見詰めていた。