チッ…!っと舌打ちをして長い銀髪の隙間からグリーンの瞳がベッカーを睨んだ。



『…夜中に伯爵邸だ。』



『えっ…?それって…』



どういう意味か聞く前に彼はフンッと鼻を鳴らしてその場を後にした。



残されたベッカーはダンを振り返る。



ダンは首を竦めて曖昧に答えた。



『まぁ…口は悪いが“悪魔”じゃないし…。ああ、目もあんなだけど。』



フォローにならないようなフォローをしてダンは苦笑すると、ゆっくり立ち上がった。



まだ身体が痛いのか、少し庇った歩き方をするダンの後ろをベッカーも着いていく。



『変なヤツでしょう?彼…』



『そう…ですね。以前と印象が違いますし…。』



そう言うベッカーを振り返り、ダンはクスッと笑った。



『もっと変なヤツが居ますよ。…まぁ伯爵邸で会えると思いますが。』



…彼等はいったい…?



その夜、彼はダンの言葉の意味を嫌って程知る事になった。