『じゃあ、その影はいったいなんだったんですか?』



『なにって…』



ベッカーは言葉を詰まらせる二人を交互に見て首を傾げた。



『…なんだったんだろうな~』



『う、うん。検討つかないなぁ~』



『…もしかして私を馬鹿にしてんですか!?一応これでも精神科医なんですよ。あなた達の嘘くらい見破れます!』



不愉快を前面に出してそう言うベッカーにダンが銀髪の彼に視線を投げ、助けを求める。



彼は『知らねぇ~』と薄情な捨て台詞を吐き、フードを被り直した。



『おい、クロウ!裏切る気か!?』



『人聞き悪い!裏切るも何も、ベラベラ喋ったのはお前だろ!?』



『だからそれは不可抗力だって言ってんだろ!?』



『うるせぇ、ジジイ!』



『ジ、ジジイ!?俺はまだ30代だ!だいたい前から思ってたんだが、口が悪すぎるぞ!』



微妙に論点がズレ始め、ヒートアップする二人をベッカーが慌てて止めに入る。