ダンが現時点で思い出した断片的な記憶は、あの爆発事故とは全く関係のない事だった。
…いや、関係がないと自分が思い込んでいるだけなのか…?
それはスライドショーのように彼の脳裏に甦ってくるらしい。
あの時、ダンは確かにモニター室を出て部下数人と館内に侵入した。
『…そこからが曖昧なんです。でも、確かに居たんですよ…アイツ等が…。』
『アイツ等?…知り合いが居たんですか?』
『ええ…まぁ、そういう事になるかな…』
『その状況をもう少し詳しく聞かせてくれますか?』
ベッカーの言葉にダンは目を閉じた。
『…真っ白な羽根が舞って…暗闇に紅い瞳が光って…』
意味不明な事を呟くダンにベッカーは、最初上映中だった映画の映像の記憶かと思った。
だが、ダンは『映画じゃない』とキッパリ言ってのけた。

