とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




その爆発でシアターは炎上したが、幸い死者は出ていない。



『俺はよ…不思議なんだ。あれだけ炎にまかれて、誰も死ななかったなんて奇跡としか言えねぇよ!』



…“奇跡”…



ダンは“奇跡”じゃないと感じた。



『…多分それは“天使の加護”があったんじゃないか?』



『おぅおぅ、そうかもしれないぜ!』



…俺達は護られたんだ…!



『けどよ…妙なんだよなぁ~』



『な、なにが?』



『あの時お前が連れてった部下がさ、スクリーンが燃え上がったって言うんだ。』



『じゃあそこに爆弾が仕掛けてあったとか?』



『そう思うだろ?…だが、鑑識の話だと火元の特定が出来ないらしい。』



『火元が?スクリーンが炎上したんなら舞台装置とかじゃないのか?ニュースでもそう言ってたろ?』



『いや、それはマスコミに流した表向きの情報さ。』



実際はプロの鑑識班が首を傾げるほど、爆発の痕跡が何一つ無かったとか…。