『よぉ!』と入口から顔を覗かせた同僚にシェリルは気を利かせて席を外してくれた。
『元気そうじゃねぇか。』
『メイスン!…君もね。』
元気そうだが、お互い包帯だらけなのが可笑しくてクスクスと笑った。
久々に話す同僚との会話に塞ぎがちだったダンにも笑顔が戻る。
笑う度に『あいたた…』と二人して怪我をした所を押さえたり。
『お互い災難だったな…お前、記憶がないんだって?』
『ああ…そこだけスッポリ抜け落ちたらしい。』
『じゃあ気になって仕方がないだろ?』
『まぁね。でもニュースでは映画館の装置が故障したって…』
『…そんな訳ねぇだろ?』
『えっ…!?』
急に声を潜めたメイスンにダンは驚きを隠しきれなかった。
『知りたいか?』
『知りたい…!教えてくれないか?』
身を乗り出したダンに彼はまたゲラゲラと笑うと、『仕方ねぇなぁ~』とおどけながらあの日の事を話し始めた。

