その後、やって来たドクターに『一過性の記憶喪失』と説明された。
『きっと倒れた時に頭を強く打ったのでしょう。ほとんどの場合、すぐに記憶も戻りますので大丈夫ですよ。』
『そうですか…ありがとうございます。』
しばらく安静にするように言われ、ダンはシェリルと話したりしてのんびり過ごした。
それらの会話の中で、自分の欠落した記憶が倒れた数時間前後だと解った。
『きっと何かの捜索だったのね…ニュースでは映画館の装置が故障した為って言ってたわよ?』
『そうなんだ…じゃあツイてなかったんだな。』
シェリルにはそう返したが、“ツイてなかった”だけでないと漠然と思った。
…俺は…彼処で何をしていたんだ?
病室をノックする音でダンは顔を上げた。

