とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




その後、やって来たドクターに『一過性の記憶喪失』と説明された。



『きっと倒れた時に頭を強く打ったのでしょう。ほとんどの場合、すぐに記憶も戻りますので大丈夫ですよ。』



『そうですか…ありがとうございます。』



しばらく安静にするように言われ、ダンはシェリルと話したりしてのんびり過ごした。



それらの会話の中で、自分の欠落した記憶が倒れた数時間前後だと解った。



『きっと何かの捜索だったのね…ニュースでは映画館の装置が故障した為って言ってたわよ?』



『そうなんだ…じゃあツイてなかったんだな。』



シェリルにはそう返したが、“ツイてなかった”だけでないと漠然と思った。



…俺は…彼処で何をしていたんだ?



病室をノックする音でダンは顔を上げた。