その直後、辺りが一層騒がしくなった。



彼等はシアターから少し離れた場所にいるため、何が起きたのかは判らない。



だが、あの特殊部隊みたいな集団がアルミ製のケースを手に向かって行くのが見えた。



『…な、なにがあったんだ!?』



『そ、そんなの俺が知るわけないじゃないですか!』



そんな二人の前を警官が大声を上げて通り過ぎる。



『退避だ!!今、爆弾処理班が…』



『『……』』



…ばく…だん…?



思わず二人は凍り付いたようにその場で硬直する。



『……今の…聞こえたか…?』



『…き、聞こえました…』



ゆっくりと顔を見合わせ、尋常じゃないほど汗が噴き出す。



無言のまま動けない二人を若い警官が装甲車両に担ぐように乗せると、慌てて走り出した。



その数分後、今まで自分達がいたシアターから爆音とともに炎が燃え上がった。



…彼等は思った。



─“ああ、助かって良かった”と…。