そんな真面目な警備係だが、ここ最近になって何故か金曜日だけは残業を拒んだのだ。



店長は困ったように頭を抱え、最終的に受付のバイトである彼に残業を持ち掛けた。



『君…ミッドナイトが終わるまで残業してくれないか?』



最初は渋ってみたが、彼にとって悪い話ではなかった。



別に彼女が居るわけでもないし、遊びに行く相手すらいない。



むしろ真っ直ぐ帰って家に居る事の方が苦痛だ。



『深夜手当…出るんですよね?』



『もちろん!いや~助かるよ!』



そうして店長はモニター室は全て録画するから問題ないと彼に説明した。



翌日、モニター室から内線が鳴った。



『店長から聞いたよ。金曜代わりに出てくれるんだって?』



『ああ、そんな事か。気にすんなって!丁度稼ぎたかったんだ。』



『ならいいんだけど…ありがとう。』



感謝の言葉なはずなのに、彼の口調は全く感情がないように感じた。