そして彼の枕元まで来ると笑顔を貼り付けたまま、『ねぇ、ヒューガ』と囁くように声を発した。



『あなた…何の用があって“こっち”に来たんだったかしら…?』



『…ウリエル様の…右京の補佐で…』



『私の勘違いで無ければ、この屋敷にクロウは居ないわ。』



『あ、うん…そうだね…』



しどろもどろで答える彼には天使の品格すら感じられない。



他人が見たら軟弱な草食系にしか見えないだろう。



本来彼は別に気が弱い訳ではない。



ただ、リサを怒らせたくないのだ。



『…黄泉は今誰が…?』



『バージとクー·シー。』



『えっ!?バージも…!?』



思わず眉を寄せた虎太郎にリサが表情を一変させ、『何か?』と声のトーンを下げた。