忍は自分の髪の毛を弄びながら見詰めている右京に少し首を傾げた。



「…なんか右京、ヤケに機嫌いいね…」



「そりゃね。…これから毎日一緒に寝起きするかと思うと嬉しくて。」



右京がそう言うと忍はクスリと笑って右京の頬に軽くキスをした。



「…にしても、ここやっぱり広いね…」



「アランのとこの持ち物だからな…」



新居であるこのマンションの一室はアランが用意してくれたものだ。



彼曰く“この前のお礼”らしいが、右京には裏があるように思えてならない。



「…後で部屋中チェックしないと…」



「何を?」



「盗聴機と隠しカメラ。」



「はぁ!?そんなのあるわけ…」



「いや、アランだから有り得る。」



ここにあるほとんどの家具はアランの設置したものだ。



自分達が何も用意しなくて済んだ反面、持ち主が好き勝手に細工だって出来たはず。