物憂げな彼からはいつもの自信が感じられない。



忍は立ち止まり、右京の前に回り込んだかと思うと彼の胸ぐらを掴んでグイッと引き寄せた。



そして驚く右京に背伸びをして唇を塞ぐ…。



突然の忍のキスに固まる右京を見て彼女は「らしくない!」と笑った。



「…お前なぁ…」



「隙、ありすぎ!そんなんだから相川さんに漬け込まれんのよ!」



「漬け込まれてねぇよ!」



「あやし……っ…」



言葉の途中で右京のキスに阻まれ、それ以上忍は何も言えなくなった。



唇を割って口内に入って来る右京の舌に翻弄される。



長く深いキスに応えながら忍は彼の首に腕を回した。



「…その何処でもキスする癖、何とかなんないの…?」



「なんない。…早く帰って一緒に寝よ…?」



右京はヒョイと忍を抱き上げ、人気のまだない道を歩き出し…



「…元気出た?」



それから彼は囁いた。



「ん…俺、やっぱり忍が大好きだわ…」