その邪気が全く感じられないとなると…。



「…なるほど。」



「ワタクシに出来る事は限られてます。…後はお任せしますね。」



そう言い残して彼は姿を消した。



右京が忍の部屋に入ると、ベットで寝ていたらしい彼女が目を開けた。



「…いいよ、寝てて。」



「ん…なんか怠いの。ねぇ、右京。ここに居て?」



「ハハ…今日の姫はヤケに素直だな…」



「なんか怖いの…」



右京に腕を伸ばす忍に微笑むと、彼女のベットに潜り込んだ。



「…私…変じゃない?」



「変じゃないよ。…俺のそばに居れば何ともないだろ?」



「…そういえば…」



「おそらく“暗示”だよ。」



「…“暗示”…?」



邪気を感じないなら、それは悪魔に掛けられたものではない。



かと言って人間の掛けた呪いでもない。



…多分、俺への“警告”だ。