その日の仕事もなかなかはかどらず、定時を大幅にオーバーしていた。



忍は社内の時計を見て、思わず特大の溜め息を着く。



…最近ツイてないな…。



お陰で右京の顔すらまともに見ていない。



会話といえば、起きてから出勤するまでの数時間と、昼休みのメールくらいだ。



…これじゃ、遠距離と大差ないじゃない!



そう考えると急に寂しくなり泣きたくなった。



仕事は好きだし、いつも一生懸命やってるつもりだ。



だが、今はそれすら悔やまれる。



…右京に会いたいな…。



以前より近くに居るはずなのに、なんだか彼が遠く思えた。



「…やめた!…今日は帰っちゃおう!」



ノートパソコンをパタンと閉じると、その隣で携帯がブルブルと振るえていたのに気付いた。