ポートマンは少し周囲を気にしながら声を潜めた。



『明日、私の職場に来ないか?』



『君の職場って…確か検死局だろ?』



彼はカリフォルニア州の検死局で検死官として勤務している。



ちょっと興味はあるが、部外者である自分が行ってもいいものか…。



ポートマンはベッカーの心の内を見透かしたように笑った。



『別に一緒に解剖しようと言っているわけじゃないさ!ちょっと力を貸して欲しいだけだ。』



『それを聞いて安心したよ。』



…まぁ、公務じゃないしな…



旧友の誘いを断りきれず、ベッカーは観念したように『わかった』と頷いた。



…結局バカンスってなんだろう?



なんて考えたりして、自分には仕事しかないのかと気付くと独り嘲笑するのだった。