『…どう思う?』



『…何かを必死に掃除したって感じ?』



もしそれが血痕であるなら、ノーマンが急性アルコール中毒で死亡したという警察の話も嘘臭い。



…警察が事実を隠してる…?



『ニック…これが殺人だったとしたら裏があるよ、きっと…』



『ああ…おそらく、ノーマンを殺ったヤツは彼の所持していた“秘密”とやらを持ち去ってる。』



そして、その奪われた“秘密”のせいでバチカンの諜報部員まで犠牲になっている。



…人の命を犠牲にしてまで手に入れたい“秘密”なんてあるのか?



虎太郎はやりきれない気持ちを隠し、ひとり拳を握り締めた。