『あれ…?あのセールスマン帰っちゃったの?』



『仕事があるんだと。自由に見ていいってさ。…P2には電話入れた?』



『ん。ダンがデータベースをあらうってさ。それより隣の老婦人、やっぱり“当たり”だった。』



ニックは虎太郎が彼女から聞き出した内容に耳を傾ける。



老婦人はノーマンから“自分は殺されるかもしれない”という話を聞いたらしい。



『…何故かは彼女も知らなかった。…ただ…ノーマンはある秘密を知ってしまったって言ってたって…』



『“秘密”…?』



『うん。それを“奴等”は奪いに来るかもって。…だから彼女はそいつ等にノーマンが殺されたと思ってるみたい。』



ニックはその話を聞いて再び足元に視線を落とす。



『…見ろよ…ここ。やけにフローリングが白っぽいだろ?』



『…言われて見れば…まさかここが現場?』



虎太郎はニックが指摘した部分にしゃがみ込むと軽く手でなぞった。