空港に降り立った虎太郎は伸びをしてロサンゼルスの空を仰いだ。



向こう側にそびえる摩天楼で少し空が狭く見える。



『…意外とごみごみしてるんだな…』



『大都市だからな。イギリスの方が品があるだろ?』



隣のニックの言葉に頷く。



だがなんとなく空気が違うと思った。



イギリスほど堅苦しくなく、それでいて威厳がある国…。



…リサも一度連れて来てやりたいな…



離れた所に居る恋人を思い出し、少し寂しさを感じた。



最近彼女は怒りっぽい。



…いや、怒りっぽいのはいつも通りなのだが、以前に増して“ワガママ”になった。



虎太郎としては喧嘩したくないし、早く仲直りがしたいのだ。



その度に『ヒューガは何も判ってない』と言われる。



…自分の何がいけなかった?



その答えはまだ見つかりそうになかった。