あのイスラエルでの非道なミッションから数週間が過ぎた。



右京は日本に帰国し、先週から正式に社員として叔父の下で勤務開始になり、日々ストレスを感じていた。



もちろんあの死海文書の一件がどうなったかも気になるが、社会人として仕事を疎かにしたくない。



「あの右京が・・・別人のようだわ・・・」



会社でこなし切れなかった仕事を自室で片付けていると、忍が右京を見てそう呟いた。



「あのねぇ・・・俺だっていつまでもガキじゃないの。やる事はちゃんとやるって決めたし。」



それに、適当に仕事をして叔父に忍との事をまたとやかく言われたくなかった。



「ちゃんと考えてるんだよ、色々と・・・」


「ふ~ん・・・」



忍は右京の顔を覗き込み、「あとどれくらい?」とちょっと首を傾げた。



「なんで?なんかあるの?」



「べっつに~!いいですよ、好きなだけ仕事すれば?」



そう言ってちょっと不機嫌な忍がプイッと顔を背けた。