背を向けた銀髪に慌てて『待て!』と叫ぶ。



彼は思い出したようにバラクを振り返った。



『そうだ…謝らないとな。スプリンクラー、壊して悪かった。…ソイツ等も…。』



『…すぷりんくらー?』



首を傾げるバラクに彼は廊下の天井を指差した。



『・・・ソイツ等、すぐに目覚ますと思う・・・怪我はさせてないよ。』



そう言いながら彼はまた背を向けて窓の方へ歩き出した。



バラクは呆然とそれを見つめる。



ふと、奇妙な事に気付いた。



彼は何気なく濡れた自分の銀髪に手を通していたが、そこから水蒸気が出て…



窓枠に足を掛ける頃にはすっかり乾いたストレートの銀髪を揺らし、顔だけこちらに向けあの綺麗な笑みを見せた。



その様子はまるでスローモーションのようにバラクの脳裏に焼き付く。



銀髪の男がそこから姿を消しても、彼は目を覚ました彼の部下に声を掛けられるまで、しばらくそこから身動きが取れなかった。