夜になるとやたら気温が下がり、少し寒く感じる。



右京はパーカーを深く被り、ジッパーを上まで引き上げた。



『さてと…』



そして、腕に装着された携帯端末を操作して考古学庁の設計図を確認した。



この設計図に変更がなければ、郊外の排水路から建物の真下にたどり着ける。



が、内乱の真っ只中であるこの国は過激派があちこちに潜んでいた。



出来れば無駄な時間は費やしたくない。



右京は瞳の色を隠すように黒塗りのサングラスを掛けると、人目を避けて移動を開始した。



なんなく排水路まで来たところで計算外の事態に遭遇した。



排水路の大きさは問題ない。



だが、そこには格子がしてあり扉は付いて居るものの錆び付いて開かないのだ。



彼は暫し考えて『…仕方ないよな…』と呟いた。