はぁと溜め息をついて憂鬱さを露にする。



『死海文書を調べろとか簡単に言いやがって…どんだけの量か知らねぇのかよ…!』



それは死海付近の洞窟11ヶ所から発見され、全部で800巻以上ある。



それをまるでその辺の図書館で調べて来い並にサラッと言い放ったアランに、さすがのニックも腹が立った。



『何も一人でとは言わない。君には“アシスタント”が居るだろ?』



頭の回転が早いアランは、先の先まで読んでいるのだ。



だが彼は知らない…ニックがアシスタントである忍と二人になりたくない事を…。



以前、忍に手を出してその恋人である右京に思いっきり殴られた一件を思い出し、ニックはブルッと身震いをした。



忍も自分と二人では行きたくないだろうと思っていたが、予想に反して彼女は“死海文書”と聞いてこの話に飛び付いた。