ニックは原稿を仕上げたばかりだったし、思わず“嫌だ”と言いそうになった。



が、そこはアランの方が上手だ。



ニックが言葉を発するより先にアランが声色を強める。



『バチカンからの要請だ。』



ニックは彼のその言葉に『うっ…』と怯んでしまった。



クスッと微かな笑い声をした方を睨むと、クリスが愛銃を磨きながら肩を揺らせていた。



『…クリスに頼めばいいじゃないか!』



『クリスには他に頼みたい事がある。』



『なら一緒に…』



『ニックに“討伐依頼”はこなせない。』



『うっ…』



『いや…囮でもいいなら一緒に連れてってやるよ?』



ニヤニヤと笑うクリスにニックは悔しくて呻きを漏らす。



そして遂に観念したように肩を落としたのだった。