右京は忍を庇うように胸に抱き抱える。



そして彼のグリーンアイを一瞬閉じ…再び瞼を開き、その真紅の瞳で辺りを睨んだ。



……居た。



辺りを縦横無尽に飛び交う無数の発光体が見えた。



右京ですら力を解放しないと見えないのなら、おそらく普通の人間には見えない。



「忍。目を瞑ってろよ…!」



コクコクと彼女が頷いたのを確認すると、右京は纏っていた風を更に強める。



その風が右京の瞳が煌めいた刹那、無数のウトゥックに向かって放たれた。



「………」



忍は辺りが静かになると、ゆっくりと目を開けた。



右京は暗い闇を真紅の瞳でただ睨んでいる。



そして、右京の小さな呟きが聞こえた。



「…なんでアイツが…?」



「…右京…?」



忍が右京に声を掛けると、我に返ったようにハッとしてこちらを見下ろす。



その目は…いつもの優しいグリーンと赤のオッドアイで…。



切れ長の瞳を細め「もう大丈夫だよ」と微笑む右京に、忍もホッとして笑みを返したのだった。