そんな私をよそに、星羅はてきぱきと氷をグラスに入れていく。


『お酒、濃くする?』

『…うん』

『そうこなくちゃね!』


翌日が休みだったこともあり、多少酔っ払っても平気だろうと高を括っていた。
どうせ、明日だって予定はない。
グラスにたっぷり注がれた焼酎、そこに、焼酎より少ない水。


『ね、結衣と乾杯してもいい?』

『あっ!えっ…うん…』


自分より年下と思われる男の子に呼び捨てにされ、戸惑ってしまった。
(後で実年齢を聞いて、また驚いた訳だけど)
しかしながら、それが何故だか不快と思わなかった。
星羅のジャケットのポケットからさっと出された小さなグラス。
そんなところにグラスが入ってるなんて、私には不思議で仕方がなかった。


『かんぱーい!』


BGMの喧しい店内に響き渡る、星羅の声。