問題山積み

自分の声の高さに身震いした。














小さくて、だけどデザイナーズマンションの3階の角部屋が澪の住み処。


「碧、お帰りなさい」


下着姿にキャミソールだけを着た澪が、ドアを開けてくれた。
家では下着姿が鉄則、それが澪の自己ルール。
胸元に黒い蝶の刺繍を施した薄いピンク色のサテン地のキャミソールは、私が澪につい先週プレゼントしたもの。
ふらっと立ち寄った下着屋で「可愛いな」と思って買ってしまった。
なんとなく買ったものの、自分が着るなんて考えられなかったから、下着屋の紙袋から1度も出さずに澪にあげた。
その時は男装していなかったものの、それでも全身真っ黒の服を着て重たいシルバーアクセサリーをじゃらじゃらつけていた私には、到底似合いそうになかったから。


「ただいま」


格好は男装していた時のまま。
多少いじり直したとは言え、髪と化粧はキャバ嬢のまま。
そんな私を、澪はどう見ているのだろうか。