問題山積み

とは言え、少々我が儘な彼女にそれは通用する訳もなく。
逆を言えば、澪の方が、私が男であっても女であっても気にしていないようだ。
ぺたんこの胸も、肉感のない痩せた身体も、高めの身長も、私の全てを受け入れてくれるのが澪。
恋愛ごっこをしているのは私だけで、澪は本当に私を好きでいてくれているのかもね。
巻いた髪を掻き上げる。
1日に2度もヘアスプレーを吹き掛けられた私の黒髪は、見事にぱりぱりになっていた。
ヘアスプレーを取るには、トリートメントがいい。
シャンプー前にトリートメントをたっぷりつけてほぐしていくと、するすると柔らかな質感を取り戻していく。
お蔭様で私のトリートメントの使用量は、普通の女の子の3倍くらいはあるんじゃないかな。
澪に返信もせず、私は携帯を仕事用のパーティーバッグに入れる。


「…そろそろ行くか」


誰もいない更衣室で、小さく呟いた。