沙絢は、俺の隣をきちんとキープして歩き出す。
指名してくれた沙絢が恥ずかしくないよう、完璧に仕事をこなす。
沙絢が、「自慢の相方」と思えるように。














原宿で買い物し、カラオケに行き、お茶をし、プリクラを撮り、本日のお勤めは無事に済んだ。
沙絢は、原宿で俺にピアスを買ってくれた。
黒い石を留めた、シンプルなピアス。
片耳に5ヶ所ずつピアスホールがある俺にとっては、こういうピアスは幾つあっても嬉しい。
俺達の仕事に給金は発生しない。
だが、こういう貢ぎ物はほぼ毎度のこと。
趣味の延長線上でやっている無償の仕事ではあるが、プレゼントは純粋に有り難い。


「あー、楽しかった!」


別れ際、沙絢が原宿駅で声を張り上げた。
その一言が、俺の自信になる。


「俺も、すっげえ楽しかったです。ありがとう」


満面の笑みを作ってみせると、沙絢は頬をうっすらと赤らめた。