いい歳なのに女にたかるなんて、まるで寄生虫だとすら思っていた。
それなのに星羅と言えば、泣きたくなるくらいの愛らしい顔で私に声をかけてくれた。
歌舞伎町なんて、綺麗なキャバクラ嬢や風俗嬢がごまんといるはずなのに。
なのに、星羅は私を選んだ。
取り立ててお金を持っているふうに見えない、ぼろ雑巾のような私を。


「結衣、『ホストって、スタバのお茶代と変わらないの?』って、びっくりしてたね」


星羅が眼を細めて笑った。
あ、この顔好き。


「もっと敷居が高いもんだと思ってたから…」

「高級店はね。うちはホストクラブじゃない、メンキャバだから」


メンキャバとホストクラブの違いも、私は知らずに星羅についていった。
星羅の店はメンズキャバクラ。低単価で、時間制で飲める。
男の子達だって、私よりずっと若い。
その気軽さに魅了されて、私はまた足を運ぶことになった。
何より、星羅からのメールが楽しくて仕方がなかった。
働き漬けで彼氏もいない。出会いもない。
気がつかなかっただけで、一人暮らしはとても寂しかったのかもしれない。