どうしたのかと星羅と目を合わせる。
すると星羅は、


「今日が、3ヶ月目」


にかっと笑って、そう言った。


「3ヶ月目?」

「結衣と俺が出会ってから」


そんなこと、私は知らない。
いや、知らない訳じゃないけど、いちいち気に止めてなかった。
3ヶ月だなんて、曖昧な数字。彼氏彼女でもなければ、記念日だなんて言いにくい。
なのに、星羅はそんなことを気にしてくれたんだ…。
それがなんだか無性に嬉しくて、だけど私はそれを隠すようになるべく無表情で星羅の皿に牛タンを乗せる。


「あの時の結衣はさ、暗ぁい顔してとぼとぼと新宿を歩いてた」


牛タンを口に運び、そんな話を始めた星羅。
それに誘われて、私の頭に流れる回想録。


「うん、気付いたらそこは歌舞伎町でね」

「スタバのカップ片手に、『あー、OLさんはこんな時間まで大変だなぁ』なんて思ってたんだけど、何となくほっとけなくて」


その日の私は、連日の残業でほとほとくたびれていた。
自分の仕事を終わらせても、先輩や後輩の分が容赦なくのしかかる。